キスダムR BD-BOX発売記念イベント「裏返り決起集会」レポート

はじめに

 2011年7月16日にキスダムR-ENGAGE planet-のBlu-ray BOX発売記念イベントが東京は新橋にあるスペースFS汐留にて開催された。BD-BOX一時予約受付終了後の早期入金者を対象に、抽選で運良く当選した裏返りたちが招待されたイベントで、放送終了後4年が経過しようとしてゐるこの時期にまさかのイベント開催だつた。

 キスダム最初で最後になるかもしれないこの裏返り決起集会に自分は幸運にも当選して参加できたので、イベントの様子などを覺えてゐる範囲で書いていかうと思ふ。

スペースFS汐留到着

 新橋駅を降りて汐留口からすぐの所に会場であるスペースFS汐留はあつた。自分が到着した12時39分時点で、すでに何人もの裏返りが会場入り口前の階段で、今や遲しとイベント開始を待つてゐた。階段下には「本日のイベントは13:00からになります。入場は13:00まで出來ません。ご了承下さいませ。」と書かれた紙が本日の催物の看板に貼られてゐた。看板に使はれてゐるポスターはキスダム無印当時のものだつた。

 会場入り口前に行つてみると何人かで談笑中のグループがをり、その中のお一人がキスダム裏返りオフ会主催の方だつたため、少し迷つたが用意しておいたオフ会用ネームタグを取り出して挨拶をさせて頂いた。

 しばらく待つと座席抽選をするといふことで、会場入り口前に机を設置して当選メール及び身分証明書確認の準備をスタッフの方が始めた。座席抽選待機列は階段に作られたが、階段には日差しを防ぐ物が何もないので、待機するのはなかなか辛いものがあつた。12時50分頃に座席抽選が開始され、自分の席はD16だつた。

 会場に入ると、秋葉原限定で無料配布されてゐた週刊アスキー秋葉原限定版が参加者全員に配られてゐた。

 入つてすぐ右手にTwitterの有志一同から贈られた見事なスタンドフラワーが飾られてをり、この企画に参加した自分としてもこんな立派な花だつたのかと嬉くなつた。

 スタンドフラワーの真ん中には企画に参加した有志のリストがあり、リストの下の方にはイベントゲストである小野大輔さん(哀羽)、明坂聡美さん(ヴァルダ)、遠藤綾さん(乃亜)、中村悠一さん(七生)のコメントまで書かれてゐた。

 スタンドフラワーの反対側には番宣ポスターやOP絵コンテ、コックピットアーマーのガレージキット(河森正治さんの直筆サイン入り)、アフレコ台本、関連CDなどが展示されてをり、自分も含めた参加者たちが撮影したり熱心に見入つてゐた。

 ガレージキットは自分も持つてゐるけど、正直言つてガレージキットなんて作つたことがないので未だに箱にしまつたままである。ひとしきり展示物を見終つたので座席を探すと、D16は前から4列目の右端の方だつた。これは結構前だしいい席を引いたぞと興奮した。会場内ではキスダムのサントラがかかつてゐた。

第一部 ゲストトーク編

 開演時間の13時30分になつたが始まらず、13時33分になりかういふイベント恒例の諸注意が放送された。内容自体はよくある撮影録音は禁止ですと言つたアナウンスだつたが、哀羽さんとヴァルダの掛け合ひの形をとつてをり、いかにもキスダムつぽい内容に早くも観客席が沸いてゐた。

 諸注意の放送が終ると本日の司会進行役であるバンダイビジュアル宣伝担当の廣岡祐次さんがステージに登場した。次いで、挨拶もそこそこに早速ゲストの小野大輔さん、明坂聡美さん、遠藤綾さん、中村悠一さん、監督の佐藤英一さんがステージに登場。ちなみにこの際、廣岡さんが監督をサトウエーイチと紹介してしまひ、視聴者だけでなく関係者の方でもうつかりエーイチと呼んでしまふ程だつたのかと驚いた。

 イベントも本格的に開始となり、まづはゲストの方々がキスダムBD化などについて順番にトーク開始。声優陣は大凡寝耳に水と言ふか予想外だつた感じだつたが、監督だけは水面下でソフト化に向けて色々と動いてゐたとのことだつた。

 一通り挨拶を濟ませたところでキスダムR Blu-ray Disc BOX生産決定が発表され、ステージ上にあるスクリーンにも生産決定の文字が表示された。このタイミングで生産決定とは予約時の事を考へるとどう考へても早すぎるとしか思へないが、何はなくともめでたい事なのは間違ひない。

 次は事前にアンケートを取つてゐた好きなキャラクターランキングが発表された。順位は下記の通り。

  1. ヴァルダ
  2. 哀羽シュウ
  3. 七生愁
  4. 出門狼騎
  5. ヴァラール/乃亜
  6. 猪尾亜久里
  7. ヴァイレ
  8. イエラ
  9. 田中さん
  10. 由乃

 結果を見たヴァルダ役の明坂聡美さん曰はく「当然。合格だ」ださうで、やはりヴァルダは人気があるのだな、と思つた。まあ、自分もヴァルダ派ですが。狼騎さんの人気ぶりについてはゲスト陣でも話題になつてゐて、会場内で狼騎さんに入れた人挙手などとやつてゐた。ある程度予想できたとはいへ由乃の不人気には、小野さんと中村さんがあれだけ劇中で「由乃おおおおおおおお」と宣伝し捲くつたのにとコメントしてゐた。

 監督はドラマではヴァルダ、構成では由乃がヒロインと言へるかもしれないけど、ヒロインは全員と言つてゐた。また、世間ではヴァラール好きといふ話になつてゐるけど、長髪が好みなだけで、実はヴァリレイが好きだとそれまでの俗説を覆へす発言をした。ほとんどのキャラクターは收まる所に收まつたけれど、玲に関してはもう少し幸せなところがあつても良かつたかなといふやうな事も述べてゐた。

 他には狼騎さん回のマシンガンをぶつぱなすおばちやんに票が入つたことや、ヴァリレイの髪型についてや、インパクトがありすぎるサラディン号の副艦長(監督によると目立ちすぎるのでレイアウトに苦労したとのこと)についてなどの話題があつた。

 好きなキャラクターの次は同じくアンケートをしてゐた好きな台詞のランキングが発表された。結果は下記の通り。

  1. 失格
  2. 由乃おおお(叫び)
  3. そんなお前にノーフューチャー
  4. また守れなかつた
  5. 僕の名前はなあ…七回生き反るつて書くのさ

 1位の「失格」はまたもやヴァルダであり、好きなキャラクターに續いて2連覇である。2位の「由乃おおお」はあれだけ劇中で叫べんでゐた台詞でもあり納得の順位だ。肝心の叫ばれてる由乃の人気にはさつぱり結びつかなかつたけど。3位については、小野さんがこの台詞をお気に入りだとの事で喜んでゐた。4位については、また狼騎さんかといつた感じで、この台詞を言つた状況が守るべき対象を狼騎さん自身で全滅させた後だといふ状況から「守れてねーぢやん」と突つ込まれてゐた。そして5位の七生の台詞は、これつて実は名前ぢやないよね、苗字だよね、生き反るのはお前だけぢやないだろ、などと突つ込まれて、「僕の苗字はなあ…七回生き反るつて書くのさ」や「僕の家系はなあ…七回生き反るつて書くのさ」では全然決まらない、と話題になつてゐた。

 収録からすでに4年も経過してゐることもあり、中村さんは台詞などは全然覚えてないやうで、明坂さんに「失格」と言はれてゐた。ちなみに、監督の言ふところでは、キスダムは状況説明の台詞などはあまり意味がないので、戰つてゐても余裕のある恰好いい台詞を足していつたらしい。

 好きな台詞の話題の最後として、自分の演じたキャラクターの好きな台詞を発表することになつた。小野さんは「惚れた女の笑顔を見るためさ」とのこと。この台詞は佐藤監督が足したものらしい。明坂さんは「私の名前はヴァルダ。始めましてネクロダイバー」といふヴァルダ初登場時の台詞だつた。ヴァルダを演じた事について、説明台詞が多くて3行以上ある台詞はプルプル震えたといふことを話してゐた。遠藤さんは「シュウ」「姉さん」「キャー」くらゐしか乃亜の台詞が思ひつかなかつたらしいので、考へ中といふことで他の話をしてゐた時に突然「シュウー!」と叫んで皆を吃驚させてゐた。中村さんは台詞ぢやないんですけどね、と斷つた後に例のアスキーアートにまでなつた七生スマイルとその時の息使ひを披露した。これに関しては家でどう演じようかといつぱい考へ、アフレコ時に全力投球した渾身の演技だつたやうで、一発で通つたとのことだつた。ちなみにアフレコ時には他の絵はちやんとしてなかつたけど、七生スマイルだけはきちんと絵があつたさうだ。

 續いてBD-BOXに収録される新作回『間奏節(インテルメディオ)「人片 オモカゲ」』のPV風映像お披露目。まさかの温泉回で、テーマとしては僕である妖精三人組を掘り下げたいとのことだつた。後はキスダムは無国籍なシリーズであり舞台がどこに移動して行つたのかがわかり辛いため、哀羽さん御一行の旅マップのやうな内容になつてゐるとか。

 この新作映像を見た時、まだキスダムの新作が見られるのかと初めて実感して、嬉しさのあまり思はず泣きさうになつた。

 ゲスト陣で七生は唯一新作回に出演してゐないらしく、「由乃とベッドインするからいいよ」とは中村さんの弁。ちなみに、哀羽さんの服はヴァルダが毎回直してゐるが、服装に興味がないため本当は別の服にもできるけど、いつもNIDFのジャケットになつてゐるとか。

 新作回は、明坂さんと遠藤さんの二人は収録が終つたらしく、久しぶりで不安だつたけど特に問題もなくスルッと収録が濟んだとのこと。ちなみに明坂さんがあつさり収録が終つたことを述べた時に、小野さんが「合格。言つてみたかつた」と話してゐた。新作回収録時にちやんと絵がついてゐたことが話題になり、中村さんが無印版アフレコ時の映像を是非特典にしてBD-BOXに収録して欲しいといふやうなことを述べてゐた。

 以前のインタビューでまた叫びたい必殺技として小野さんが希望してゐた「テイル=ボーン」も無事に登場するとのことで、小野さんも喜んでゐた。最初「テイル=ボーンヌ」と言つてゐたら、音響監督の明田川仁さんに駄目だしされたとか、最後の方ではいつもの「テイル=ボーンヌ」でお願ひしますと言はれてゐたことなどが話題になつた。新作回の台本では「テイル=ボーンン」と書かれてゐるらしい。

 トーク編もいよいよ佳境になり、この後の上映編で上映される映像の説明の後、記念撮影を行つた。記念撮影時に使はれたポスターが幻の無印版DVD告知ポスターだつたため、「DVDでエンゲージできてないだろ」などと突つ込まれてゐた。さういへば会場内には撮影スタッフがいたので、何らかの形でこのイベントの映像が公開されて欲しい。

 最後は、トーク編の締めとしてゲスト陣のコメントコーナー。佐藤監督はイベント中に何度も言つてゐたけど、これは始まりでしかなく、ソフト化されて終りではない。キスダムの神話はこれから始まると賴もしいことを述べてゐた。今後のキスダム新展開に期待してもいいのかな。中村さんはアフレコ時の裏話を披露。冬音回で登場した鈴音役の戸松遥さんは当時女子高生で、アフレコは夕方だつたこともあり制服で現場に來てゐたのを、小野さんが本人に「コスプレなの?」と訊いたらしい。これには「失格」と突つ込まれてゐた。遠藤さんは「キスダム好きはかういふ顔をしてるんだなあ、と思ひました」とか言つて惡い意味ちやないよねなどとフォローされてゐた。後は魔法少女ノアイエラをやりたいと意欲を見せてゐた。明坂さんは「僕と契約して魔法少女になつてよ」と言ふ役は私がやりたい、とこちらもやる気満々。その後、それ別作品だからとかキスダムフロンティアをやりたいとかに話が発展してゐた。最後に小野さんが、当時は主要な出演者が若い世代の自分たちだけだつたのでいい作品にしようと熱量を込めてやつていたため、DVDが出ないと聞いて泣きさうだつた。BD化が実現して本当に嬉しい。ここまで応援してくれた皆さんに感謝してゐます。と、キスダムに對する思ひを語つた。そして、小野さんの提案で最後に皆で「由乃おおおおおお」と叫ばうといふことになつた。叫んだ後の判定は当然ヴァルダこと明坂さんにしてもらふ。会場全体が一丸となつて「由乃おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」と叫び、判定は「合格だ」。これにてトーク編は終了。この時点で、時刻は14時31分だつた。

第二部 上映編

 15分程の休憩を挾み、14時45分から上映編の開始である。上映内容は、惜しくもBD-BOXに収録が叶はなかつたキスダム第三節「友愛 キズナ」と第六節「同死 シンユウ」の無印版とR版の同時上映。さらに先日放送されたばかりの第十三節「再離 サイカイ」のBD版上映。

 自分は無印放送時からのキスダム視聴者なので、上映された無印版キスダム第三節がどうも記憶にある無印版とは違ふやうな気がして仕方なかつた。無印版はもつと動いてゐなかつたり、暗転場面が多かつた。もしかしたらテレビ東京版の第三節はすでに何らかの理由で殘つてをらず、DVD用に修正したバージョンだつたのかもしれない。これが事実なら、キスダム第三節にはテレビ東京版、DVD用修正版、R版の3バージョンが存在する事になるが、これ以上の詮索は止めておかう。

 第六節は元々作画とかも酷くなかつたし、あまり變はつてゐないかと思つてゐたけど、結構色々と変更点が多くて、改めてスタッフの方々のキスダムRにかける情熱といふか執念が感じられた。しかし、RはRでいいのだけど、やはり自分にとつては最初に見た無印版がキスダムの原点なので、BDとは言はないまでも廉価DVD-BOXとかで無印版も発売してもらひたいと思つた。

 續いてBD版の第十三節の上映。アプコンだけど、佐藤監督が拘つただけあつてスクリーンで見ても見劣りしない出來で、BD-BOX発売が益々待ち遠しくなつた。BD-BOXが好評なら、ゆくゆくは劇場版なんかも期待できるといいなあ。そして七生スマイルを劇場のスクリーンで見たい。

 上映終了後、再び廣岡さんと佐藤監督が登場し、キスダムEDの歌手であるステファニーさんが実は会場にやつて來てゐたことを発表。残念ながらステージには登場せずにすでに歸つたとのことだつた。ああ、できれば生で「君がいる限り」を聽きたかつた。そして皆が気になつてゐるキスダムRのRの意味については、BD-BOXのブックレットに答へがあるといふことで、結局BD-BOX発売まで謎は解けず。

 最後に佐藤監督はキスダムの神話はここから始まる。決起集会のこの流れを止めずに行きたいと、今後の展開に期待の持てる事を述べられて、樂しかつたイベントも遂に終了。時刻は丁度16時だつた。

終りに

 本日のイベントの出演者及びスタッフの皆さん、素晴らしいイベントを開催して頂きありがたうございました。

 2007年のDVD発売無期延期の絶望的状況から、2008年にキスダムRとして再復活したものの、パッケージ化の話は聞こえて來ず、2011年になつてまさかのBD-BOX化が実現し、その上にこんな樂しいイベントまで開催されるなんて、今まで諦めずにキスダムファンを續けてきて、これ以上の喜びはありません。(2011/07/18)


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